2022年6月6日(月)
「かもめの日」は2008年、第60回読売文学賞受賞作品。先に、黒川創の著作物としては初めて「ウィーン近郊」を読みましたが、第二作目です。
女性初の宇宙飛行士、ワレンチナ・テレシコワの地上基地との交信記録「わたしはかもめ」に始まり、始めはバラバラに分散している物語と登場人物が、次第に関係があって、ひとつ所に収斂していく手法で作られた小説です。さほど意外性もなければ、ドラマチックでもないのですが、小津安二郎監督の映画作品のような感じ、何となく後を引きます。気が向いたらもう一作、芥川賞候補になった「もどろき」を読んでみるつもりです。