楽山楽水日記(Ⅱ)

仙台市出身、今は柏市に住んでいます。旅行や山歩き、山菜やきのこ採り、家庭菜園、釣りなど、楽隠居の日々を綴ります。

司馬遼太郎著「馬上少年過ぐ」

2022年12月10日(土)

司馬遼太郎短篇全集〈十二〉を柏市図書館から借り出し、「馬上少年過ぐ」を読みました。

伊達政宗が晩年に詠んだ高名な漢詩「馬上少年過ぐ  世平らかにして白髪多し  残躯天の赦すところ  楽しまざるをこれ如何せん」は、功なり名遂げた老雄がその自足の感懐を詠んだものではなく、「功名いささかまた自ら秘かに期す」天下への野心が、ついに徒労に終わった苦い心中を詠んだものかも知れないと、解いています。また、作中、政宗の遺言として、「わしの木像には両眼ともに晴を入れよ」と命じたとあり、死後ほどなく造られ、今年10月に訪れた仙台の経ヶ峰・瑞鳳殿に祀られている木像には、確かに両眼がありました。

短篇全集〈十二〉には外に6作品が収められていますが、もう一作「貂(てん)の皮」だけ読んで返却するつもりです。