楽山楽水日記(Ⅱ)

仙台市出身、今は柏市に住んでいます。旅行や山歩き、山菜やきのこ採り、家庭菜園、釣りなど、楽隠居の日々を綴ります。

オタ・パヴェル著「ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく」

2023年5月25日(木)

オタ・パヴェル著、菅寿美/中村和博訳「ボヘミアの森と川  そして魚たちとぼく」読了。著者の自伝的短編集第2作目にして、幼い日に故郷ボヘミアの川で釣りの手ほどきをしてくれた、父親と渡し守のプロシェク叔父さんへの抒情溢れる鎮魂歌。

私がチェコを初めて訪れたのは、ビロード革命(1989年11月)の前年の1988年、ピルスナーウルケル(PU)社との技術協力のため、当時の技術開発部長のお供(鞄持ち)で、先方の工場視察に出張した時です。当時は共産党独裁政権で、PU社トップも共産党幹部、その招待なので謂わばVIP待遇でした。PU社本社工場(ピルゼン市)の発酵室の木製発酵槽(木桶)に驚嘆し、ビール博物館(プラハ市)、最高級アロマホップ・ザーツ種を生産するホップ協同組合(ジャテツ市)、ボヘミアガラス工房、本書にも登場するチェコ養命酒ベヘロフカ」の製造所(カルロビ・バリ市)を興味深く拝見し、カルロビ・バリ温泉では飲泉するなど、プラハを起終点に主としてボヘミアを巡遊しました。本書を読むと、緑豊かなボヘミアが昨日のように懐かしく思い出されます。

近く、著者の第一作目の自伝的短編集「美しい鹿の死」も読む積もりです。