2023年8月20日(日)
何度も図書館から借り直し、長い時間をかけて漸く読み終えました。津島佑子著「ナラ・レポート」、津島作品を読むのは、「夜の光に追われて」、「火の山 - 山猿記」に次いで3作めです。
太宰治の娘である津島佑子は、1歳で父を亡くし、12歳で3歳上の兄を喪い、更に息子と死別、そして夫との離婚、パートナー男性との別離を重ねています。特に、呼吸不全のため、突然9歳で命を絶たれた息子への愛着は強く、喪失や離別をテーマとする津島作品にはしばしば登場するようです。
本書にも、母と息子の別れが、繰り返し、くどいほど描かれます。漢字が少なく一見平易な文章に見えますが、時代と場所(主に奈良だが)がくるくる変わるので、決して読み易いとは言えません。
もう一作、代表作の「笑いオオカミ」も読む積もりでしたが、やめておきます。