楽山楽水日記(Ⅱ)

仙台市出身、今は柏市に住んでいます。旅行や山歩き、山菜やきのこ採り、家庭菜園、釣りなど、楽隠居の日々を綴ります。

金子光晴著「ねむれ巴里」

2024年5月2日(木)

今年のGW、世間では10連休とか、円安、インバウンド、etc.で姦しいのを横目に、外出は菜園のみに止め、概ね家に引きこもって読書三昧。金子光晴著「ねむれ巴里」読了。

食いつめ詩人の著者と夫人(森三千代)の、昭和4年(1929年)暮れから2年間に亘るパリとブリュッセル滞在時の窮乏生活記。現地パトロンもなく、日本の支援者もない二人は、論文代作、行商、代金取り立て、額縁作り、絵の半裸モデル、女店員、たかりゆすり紛いの事まで、少しでも金になりそうなことなら何でもやっている。

当時のパリには、第二の藤田嗣治を夢みて、芸術の都留学で箔を付けたい、日本人の画家や詩人の卵が数多く暮らしていたようであるが、現地で客死した者も多い様子、金子光晴と森三千代夫妻は、投げ込み墓地に放り込まれず、パリの土になることなく、よくぞ無事に帰国したものである。幸運としか言い様がない。

これで、三部作「どくろ杯」「ねむれ巴里」「西ひがし」読了です。