2022年1月31日(月)
暇潰しと気分転換に日本の推理小説を読みました。松本清張作の「黒い回廊」、初出は1971年~1974年の文藝春秋刊松本清張全集の月報に連載されたもので、女性限定の欧州パッケージツアーに起きる殺人事件を推理するものです。清張にしては今一。同じ海外ものなら、以前読んだペルシャ(イラン)のゾロアスター教を扱った「火の道」の方が傑作。
当時のヨーロッパへ飛ぶ飛行機はアンカレッジ経由の北回り、コペンハーゲン、ロンドン、エジンバラ、チューリッヒ、ベルン、グリンデルワルトなど各都市の名所旧跡が登場し、まるでガイドブックのようです。作中に懐かしいベルンの時計塔も出てきます。
我が国の海外渡航が1964年に自由化され、1970年代にはジャンボ機が就航するなど海外旅行が次第に盛んになりますが、将来のブームを見越してその先駆けに書かれた作品のようです。作家の眼にかかると、海外旅行すら作品の種やヒントになるようで、道中、果たしてどんなメモを取っていたのでしょうか?。