楽山楽水日記(Ⅱ)

仙台市出身、今は柏市に住んでいます。旅行や山歩き、山菜やきのこ採り、家庭菜園、釣りなど、楽隠居の日々を綴ります。

河野啓著「デス・ゾーン」

2023年4月21日(金)

河野啓作「デス・ゾーン  栗城史多のエベレスト劇場」読了。山に関係する本は、つい読んでしまいます。

異色の登山家?、栗城史多(くりきのぶかず、1982-2018年)、北海道・酪農学園大学の山岳部員ではあったが、特筆すべき登山経験や技術もないままに、承認欲求だけは並外れて強く、ラインホルト・メスナー(イタリアの登山家、1986年、人類史上初の8000m峰14座、完全無酸素登頂を達成)に刺激を受け真似したものか、七大陸最高峰単独無酸素登頂を標榜、2004年の北米大陸最高峰マッキンリー(6190m)を皮切りに、2005年南米大陸最高峰のアコンカグア(6959m)、同年ヨーロッパ最高峰エルブルース(5642m)、同年アフリカ最高峰キリマンジャロ(5895m)、2006年オセアニア最高峰カルステンツ・ピラミッド(4884m)、2007年南極大陸最高峰のビンソンマシフ(4892m)までトントン拍子に登頂してしまう。

残るエベレストは2009年の初挑戦に始まり、2010年、2011年、2012年(凍傷により両手の指9本を失う)、2015年、2016年、2017年と悉く失敗、2018年5月21日、8回目の挑戦中に滑落死。

エベレスト挑戦以前はまさに時代の寵児、マスコミに取り上げられ、ファンや応援者、スポンサーもついて極めて順調であったが(エベレスト以外は7000mに満たない山なので、通常は無酸素で登るし、単独の定義も曖昧としても、、)、世界最高峰エベレストでは本物の卓越した登山家以外は単独・無酸素で頂きに立てない。失敗を重ねるにつれて、支援者やスポンサーは離れ、最後は矢折れ刀尽き状態、自滅・自殺したのかも。

「おだちもっこ」の自撮り登山家を、煽(おだ)てたり煽(あお)ったり、揚げ句は振り回されたりのマスコミや世間にも問題は大在り。