楽山楽水日記(Ⅱ)

仙台市出身、今は柏市に住んでいます。旅行や山歩き、山菜やきのこ採り、家庭菜園、釣りなど、楽隠居の日々を綴ります。

金子光晴著「西ひがし」

2024年3月6日(水)

金子光晴著「西ひがし」読了。放浪詩人とも呼ばれる金子光晴(1895-1975)が、昭和7年(1932年)、37才の時、4ケ月間に亘り、東南アジア(主にマレー半島)を漂泊した記録。

満州事変(1931年)と上海事変(1932年)が相継いで勃発し、日中の軍事衝突が拡大しつつある不穏な時代に、日本領事館員、ゴム園経営者、鉄鉱石鉱山経営者、娘子軍成れの果ての女将など、現地の日本人を頼りに転々、その日暮らしの貧乏旅行を平気で何ヵ月間も、欧州放浪も含めれば数年間も続けるほど、筋金入りの漂泊者。西行法師や種田山頭火に並ぶかも、石川啄木や山崎方代にも。