2024年4月17日(水)
金子光晴著「どくろ杯」読了。
金子光晴(1895年-1975年)の万国放浪記三部作「どくろ杯」「ねむれ巴里」「西ひがし」の第一部。1928年暮れに金子光晴と妻の森三千代は、日本を逃れて上海に渡り、以降足かけ5年、1932年に帰国するまで、上海、香港、シンガポール、マレーシア、インドネシア、欧州を極貧のうちに放浪する。
「どくろ杯」は主に上海の滞在生活を記したものであるが、執筆したのは著者晩年の1971年、旅から40年後の著作物である。
拙い絵を描いては現地の日本人の情けに縋って売り捌き滞在費や旅費を稼がねばならない貧乏旅行、それで夫人を伴い巴里まで行って暮らしてしまうのだから破天荒な紀行文であり、行き当たりばったりの度胸の良さに感心するほかない。
第三部の「西ひがし」は既に読んでしまったので、次は第二部の「ねむれ巴里」を図書館から借りて読んでみます。