楽山楽水日記(Ⅱ)

仙台市出身、今は柏市に住んでいます。旅行や山歩き、山菜やきのこ採り、家庭菜園、釣りなど、楽隠居の日々を綴ります。

読書

戌井昭人著「さのよいよい」

2022年6月16日(木) 戌井昭人著「さのよいよい」読了。この本を何故、私の「読みたい本」リストに書き留めたのか、今となっては分かりません。 世田谷区に住む売れない脚本家の何気ない日常をさらさらと描く(著者の自叙伝かも?)。30年余り前の盆踊りの日…

宮本輝著「海岸列車」

2022年6月12日(日) 宮本輝著「海岸列車」読了。毎日新聞朝刊に、1988年8月13日から1989年2月19日まで掲載されたもの、宮本輝作品は読みやすく、希望の持てるエンディングが多いので、つい読んでしまいます。 作中に、重要な場面ではありませんが、ユーゴス…

黒川創著「かもめの日」

2022年6月6日(月) 「かもめの日」は2008年、第60回読売文学賞受賞作品。先に、黒川創の著作物としては初めて「ウィーン近郊」を読みましたが、第二作目です。 女性初の宇宙飛行士、ワレンチナ・テレシコワの地上基地との交信記録「わたしはかもめ」に始ま…

山折哲雄著「生老病死」

2022年6月1日(水) 山折哲雄著「生老病死」読了。元は朝日新聞の土曜日「be」面に毎週掲載された同名のエッセイを単行本にしたもの。朝日を購読していないので知りませんでした。 山折哲雄は1931年生まれの91歳、自らも宗教研究者と名乗っているようですが…

黒川創著「ウィーン近郊」

2022年5月18日(水) 黒川創著「ウィーン近郊」読了。タイトルに惹かれて読みました。表紙を飾るのは世紀末の画家エゴン・シーレの代表作「死と乙女」。 ウィーンは2010年4月の中欧旅行の最後に滞在中、アイスランドの火山爆発により一週間の延泊を強いられ…

藤沢周平著「密謀」

2022年5月16日(月) 藤沢周平は郷里の作家、といっても隣県の山形県鶴岡市出身ですが、 これまで読んだ作品は「市塵」、「漆の実のみのる国」、「義民が駆ける」、「密謀」のみ、今回のGWに「密謀」を再読しました。2009年1月に次ぐ二度目です。 「密謀」は…

池内紀著「架空の旅行記」

2022年5月2日(月) 4月は山菜取りやきのこ取りで山野を駆け回らねばならず、なかなか読書が進みません。世間が3年振りにコロナ規制のないGWに入り、何処へ出かけても人、人、人、当方はこの時とばかり巣籠もり、読書に励みます。 山旅と温泉をこよなく愛し…

宮本輝著「田園発港行き自転車」

2022年4月18日(月) 富山、京都、東京の三都物語とも言えるが、主な舞台は富山湾岸に並ぶ北陸本線の駅がある富山市、滑川市、魚津市、黒部市、入善町界隈。特に、広大な田園風景を見せる黒部川扇状地と黒部川に架かる愛本橋(日本100橋の一つ)が要。 著者…

凍てつく街角

2022年4月4日(月) ハヤカワ・ミステリの一冊、ミケール・カッツ・クレフェルト著、長谷川圭訳「凍てつく街角」読了。 北欧ミステリーは陰謀と暴力が渦巻く世界、気持ちの良いものではありませんが、かつて旅をしたストックホルムやコペンハーゲンなどの雰…

宮本輝著「水のかたち」

2022年3月23日(水) 宮本輝著「水のかたち」読了。50才の平凡な主婦が偶然手に入れた鼠志野なる志野焼の名品から物語が展開する、骨董品・陶芸品が好きな人にはお勧めかも、タイトルの「水のかたち」とは「上善如水」のこと、宮本輝の作品は読む人の人生に…

山本文緒著「プラナリア」

2022年3月19日(土) 第124回直木賞受賞作品。漸く順番が回ってきて、図書館から借りて読むことができました。 読むのが遅い私にしては珍しく、一日で読み終えました。

津島祐子著「火の山 - 山猿記」

2022年3月14日(月) 谷崎潤一郎賞受賞作品。甲府盆地に暮らした有森家なる家族五世代の物語、祖父が娘と姪に書き遺した家族に纏わるメモワール(回想録)を、外国育ちの孫が苦労して読み解く形で物語は進む。著者の津島佑子は作家太宰治の次女。作中に甲斐…

ハインリヒ・ハラー著「セブン・イヤーズ・イン・チベット」

2022年3月5日(土) 私の愛読書である「チベット旅行記」の著者、河口慧海同様、オーストリアの登山家ハインリヒ・ハラーが鎖国状態にあった禁断の国チベットに潜入し、7年間を暮らして国体と習俗を具に体験、帰国後の1952年、世界に紹介した労作。 一月前の…

ジーナ・レイ・ラ・サーヴァ著「野生のごちそう」

2025年2月15日(火) 作中の「ポーランド」の項に、ヨーロッパ最後の原生林、ビャウォヴィエジャ国立公園が出てきます。この森は真菌類の宝庫で、特にきのこは1850種も確認されている由、アワタケ、エブリコ、オオハラタケ、カラカサタケ、カラハツタケ、キ…

ジェイムズ・A・マクラフリン著「熊の皮」

2022年2月8日(火) ミステリーは読み出すと後を引きます。今はハヤカワ・ミステリの「熊の皮」を読んでいます。著者はジェイムス・A・マクラフリン、訳者は青木千鶴。 2018年のアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞を受賞した作品ですが、ほんの暇潰し。作…

島崎藤村著「千曲川のスケッチ」

2022年2月3日(木) 昨年11月、白馬村からの帰路、小諸の懐古園に立ち寄り紅葉見物をしましたが、園内には島崎藤村記念館や藤村の胸像、「千曲川旅情のうた」歌碑があります。 藤村は明治32年(1899年)~明治38年(1905年)の7年間、私塾の英語教師として小…

松本清張著「黒の回廊」

2022年1月31日(月) 暇潰しと気分転換に日本の推理小説を読みました。松本清張作の「黒い回廊」、初出は1971年~1974年の文藝春秋刊松本清張全集の月報に連載されたもので、女性限定の欧州パッケージツアーに起きる殺人事件を推理するものです。清張にして…

尾崎喜八著「あの頃の私の山」

2022年1月28日(金) 詩人で随筆家の尾崎喜八(1892-1974)の山村逍遙の唄。戦前の昭和10年(1935年)前後の記録が多い。 中では、「神津牧場の組曲」(1932年)、「神流川紀行」(1938年)の二編が佳い。 自分が山歩きを始める30~40年も前の紀行文ですが、…

岡西政典著「新種の発見」

2022年1月26日(水) 日本産のきのこは10,000種位あると推定されているが、そのうち命名されているものはせいぜい3,000種、きのこの分類に関わる研究者が少ない為に、名無しのきのこが圧倒的に多いのが現状であります。 本書は動物分類学の書であるが、年に…

アンジー・キム著「ミラクル・クリーク」

2022年1月21日(金) 暇潰しと息抜きにハヤカワ・ミステリの一冊、アンジー・キム著、服部京子訳「ミラクル・クリーク」を読んでいます。著者は韓国ソウル生まれ、11歳の時に両親とともにアメリカに移住、その後スタンフォード大学、ハーバード大学ロースク…

川崎精雄著「雪山・藪山」

2022年1月17日(月) 転勤で群馬県高崎市に1979年~1983年、1996年~1998年、2000年~2003年とほぼ10年間暮らし、その間足繁く通った西上州や尾瀬の山々が恋しく懐かしくなる本。 作中に登場する西上州の父不見山(ててめえじやま)、1997年1月25日、前夜高…

井上ひさし著、井上ユリ編「ひと・ヒト・人」

2022年1月12日(水) 井上ひさしは郷里の先輩(生まれは山形県置賜郡川西町、中学は東仙台中学校、高校は仙台一高卒)なので、作品は色々読んでいるが、私が最も好きなのは「青葉繁れる」と「吉里吉里人」の2冊、仙台弁(東北弁)の使い回しが堪(こた)えら…

阿部幹雄著「生と死のミニャ・コンガ」

2022年1月8日(土) 阿部幹雄著「生と死のミニャ・コンガ」読了。6日の雪で日陰の道路は未だツルツル、何処にも出かけられず読書が進みます。最近のブログが読書日記のようになってます。 1981年5月10日、北海道山岳連盟ミニャ・コンガ登山隊の第一次アタッ…

司馬遼太郎著「峠(下)」

2022年1月6日(木) 最後の侍(ラスト・サムライ)、北越戊辰戦争を武士道倫理を貫いて闘った長岡藩の家老、河合継之助を取り上げた作品「峠」を読み終えました。 長岡藩の悲劇は、新政府軍の最大討伐目標の会津藩と隣国・前国であったという地理的要因にあ…

松田宏也著「ミニヤコンカ 奇跡の生還」

2022年1月4日(火) お正月は穏やかな三が日でしたが、とにかく寒いので初詣にも行かず家に隠って読書三昧、司馬遼太郎にはやや飽きたので「峠(下)」は後廻し、久しぶりに松田宏也著「ミニヤコンカ 奇跡の生還」を再読しました。 昨年の10月か11月、著者が…

司馬遼太郎著「峠(中)」

2022年1月3日(月) 本日、読了。河合継之助の心的描写がくどいほど繰り返され、やや退屈。 本当かな?、まあフィクションの小説であるが、、。

岡崎武志著「明日咲く言葉の種をまこう」

2022年1月2日(日) 長い時間かかって漸く読み終えました。岡崎武志著「心を耕す名言100 明日咲く言葉の種をまこう」、著者は無類の読者家で文筆家で書評家とのこと、著者が読書で出合った名言・名セリフを百篇、著者の解釈付で紹介したもの。 私のような年…

司馬遼太郎著「峠(上)」

2021年12月31日(金) 司馬遼太郎の作品を良く読んだのはミレニアムの2000年頃、「街道を行く」全冊をはじめ多くの作品を読んでいますが、年末年始に読もうと未読の文庫版「峠」上中下3冊を柏市立図書館から借りてきました。 新政府軍を相手に北越戊辰戦争を…

アントワーヌ・ローラン著「ミッテランの帽子」

2021年12月16日(木) 1980年代のパリを舞台に繰り広げられる洒脱な大人のおとぎ話。人生に、生活に行き詰まったら読むと元気が出るかも、空元気かも知れませんが。 パリの街、通り、建物、モニュメント、お店、新聞、TV番組、人物、料理、ワインなどフラン…

ユッシ・エーズラ・オールスン著「特捜部Q -アサドの祈り-」

2021年12月10日(金) 暇潰しの部類ですが、偶には北欧ミステリーも読みます。コペンハーゲン生まれのミステリー作家、ユッシ・エーズラ・オールスンの「特捜部Q」シリーズの八作目「アサドの祈り」、本日読み終えました。