楽山楽水日記(Ⅱ)

仙台市出身、今は柏市に住んでいます。旅行や山歩き、山菜やきのこ採り、家庭菜園、釣りなど、楽隠居の日々を綴ります。

読書

町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」

2023年1月12日(木) 2021年本屋大賞受賞作品。柏市立図書館に貸出しを申し込んで待つこと一年近く、このほど漸く順番が回って来て読む事が出来ました。 児童虐待、性同一性障害、果ては認知症までを扱った物語。それらの人々の象徴として、仲間(ほとんどの…

田部重治著「わが山旅五十年」

2023年1月9日(月) 令和五年の読書事始めは、田部重治(たなべ じゅうじ)著「わが山旅五十年」、余暇登山の始まりの明治末年から、大正、昭和の初めにかけて、木暮理太郎等とともに、秩父山地や日本アルプスの山々、全国の峠道を歩いた日記抄録、著者の田…

根深誠著「白神の四季 クマゲラの棲む森」

2022年12月29日(木) 根深誠著「白神の四季 クマゲラの棲む森」読了。今年の68冊め、126頁の薄い本で、著者の白神シリーズの焼き直し、目新しさはありません。 クマゲラとエゾハナシノブは北海道以外には、白神山地だけで観察される由、私は見たことがあり…

「開高健ベスト・エッセイ」

2022年12月24日(土) 開高健著、小玉武編「開高健ベスト・エッセイ」を読む。開高健(1930-1989年)は元々、壽屋(現、サントリー)の宣伝部員、彼を一躍有名にしたコピー「人間らしく やりたいナ トリスを飲んで 〈人間〉らしく やりたいナ 〈人間〉なんだ…

今村翔吾著「塞王の楯」

2022年12月16日(金) 第166回直木賞受賞作、今村翔吾著「塞王の楯」読了。 550頁の長編、暇潰しにはなりました。

司馬遼太郎著「馬上少年過ぐ」

2022年12月10日(土) 司馬遼太郎短篇全集〈十二〉を柏市図書館から借り出し、「馬上少年過ぐ」を読みました。 伊達政宗が晩年に詠んだ高名な漢詩「馬上少年過ぐ 世平らかにして白髪多し 残躯天の赦すところ 楽しまざるをこれ如何せん」は、功なり名遂げた老…

佐瀬稔著「長谷川恒男 虚空の登攀者」

2022年11月28日(月) 佐瀬稔著「長谷川恒男 虚空の登攀者」読了。これで著者が書いたアルピニストの作品を立て続けに三冊読む。 長谷川恒男(1947-1991年)は1979年、世界で初めてアルプス三大北壁(マッターホルン、アイガー、グランド・ジョラス)冬季単…

佐瀬稔著「ヒマラヤを駆け抜けた男 山田昇の青春譜」

2022年11月21日(月) 山田昇(1950年-1989年)は群馬県沼田市出身のヒマラヤ登山家、世界の8000m峰14座のうち9 座に12回登頂(エベレストに3回)。5大陸最高峰冬季完登を目指し、1989年2月マッキンリー(現デナリ)登山中に遭難死。 8000m峰14座完登者は202…

佐瀬稔著「狼は帰らず」

2022年11月13日(日) 岩壁登攀のスペシャリスト、森田勝(もりた・まさる、1937年-1980年)の生涯記。1980年2月、再度挑戦した冬期グランド・ジョラスで転落、帰らぬ人となる。 山菜採りときのこ狩りから山に入った私は、森林限界を越える標高2500m以上の日…

西川一三著「秘境西域八年の潜行 抄」

2022年11月5日(土) 長い時間をかけて、漸く西川一三著「秘境西域八年の潜行 抄」を読み終えました。 著者西川一三(1918-2008年)は、日中戦争の最中の昭和18年10月、駐蒙大使館調査部所属の密偵として、蒙古人ラマに化けて内蒙古を出発、河西回廊(寧夏、…

根深誠著「風の瞑想ヒマラヤ」

2022年10月12日(水) 著者40歳の時(1986年-87年)のアジア辺境旅行記。第1章が「西域の旅」として、パキスタンのラワルピンディをスタートして、ギルギット、クンジェラブ峠を越えて中国に入りカシュガルから天山南路をトルファン、ウルムチへ。更にホータ…

根深誠著「白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯」

2022年10月8日(土) 縄文時代の狩猟採集生活に憧れや関心を持つ人なら、読むと面白いかもしれない。青森県西目屋村の最後の伝承マタギだった鈴木忠勝(1907-1990年)を、白神山地の生き字引と尊敬した著者根深誠が、四季を通じて白神山地を余すところ無く隅…

河口慧海著、奥山直司編「河口慧海日記」

2022年9月30日(金) 「河口慧海日記」読了。19世紀末から20世紀初頭の当時、厳重な鎖国政策をとる禁断の地チベットへ単独潜入。仏教経典の原典を求めて、ネパールから過酷なヒマラヤ越えを敢行し、秘密のベールに包まれたチベットの実情を世界に紹介した黄…

根深誠著「ブナ原生林 白神山地をゆく」

2022年9月27日(火) 根深誠著「ブナ原生林 白神山地をゆく」読了。山歩きや渓流釣りが好きな人なら興味深く読めるかもしれません。 世界最大級のブナ原生林が残る白神山地は、1993年12月世界自然遺産に登録されて、今では手厚く保護・保全されていますが、…

根深誠著「チベットから来た男」

2022年9月17日(土) 根深誠著「チベットから来た男」読了。副題が「ヒマラヤ・マッキンリー・白神山地」、?、?、チベット世界から文明社会に降りて来たチベット族の誰かの物語かと思い、図書館から借りて読んでみましたが、内容は著者の過去の主な登山活…

ふかわりょう著「世の中と足並みがそろわない」

2022年9月12日(月) タイトルに惹かれて読んでみましたが、著者が元お笑い芸人でマルチタレントとは読み始めるまで気付きませんでした。身過ぎ世過ぎのために就く、どんな職業でも大変だと思いますが、慶応大学を卒業してまでお笑いの道に進むとは、普通で…

黒川創著「もどろき」

2022年9月9日(金) 黒川創著「もどろき」読了。この著者の作品としては、「ウィーン近郊」、「かもめの日」に続き3作目。本作品は第124回(2000年下期)芥川賞候補作。 タイトルの「もどろき」は、琵琶湖西側の京都府と滋賀県境の峠に鎮座する還来(もどろ…

根深誠著「遥かなるチベット」

2022年9月5日(月) 私の愛読書のひとつに、20世紀初頭単身でヒマラヤを越え、ネパールから禁断の国チベットに潜入した黄檗宗の僧侶、河口慧海の口述筆記になる「チベット旅行記」がありますが、その関連の著作物である根深誠著「遥かなるチベット--河口慧海…

中村哲著「医者井戸を掘る」

2022年8月28日(日) 中村哲著「医者井戸を掘る アフガン旱魃との闘い」読了。著者は1946年福岡市生まれ、九大医学部卒の医師、1984年以来パキスタン北西辺境州の州都ペシャワールに赴任、20年以上に亘って、ハンセン病を中心とする医療活動に従事。 又、隣…

稲葉香著「西ネパール・ヒマラヤ最奥の地を歩く」

2022年8月24日(水) 著者の本職は美容師であるが、2007年来ネパールヒマラヤトレッキングに通いつめ、ついに2019年冬、最奥の地、ドルポのサルダン村で越冬するという快挙?を成し遂げる。それらの行動力が評価されて、2020年植村直己冒険賞を受賞した。 作…

新田次郎著「聖職の碑」

2022年8月20日(土) 新田次郎著「聖職の碑」読了。本文は一昨日の常磐線の車内で読んでしまったので、今日は最後の「取材記・筆を執るまで」の部分を読みました。これが字が細かくて、又、長い。 小説の舞台、木曽駒ヶ岳に登頂したのは2003年10月12日のこと…

高桑信一著「山の仕事、山の暮らし」

2022年8月10日(水) 山に、生きる糧を求める19人の山びとの、それぞれの物語、滅びの美学。 我が愛読者の1冊、著者は秋田県男鹿市生まれの同じ東北人、帰省するたびに本棚からひっぱり出し、もう何回読んだか分かりません。😊

小山田浩子著「小島」

2022年8月3日(水) 小山田浩子著「小島」読了。 読まなければよかったのに」日記をつけるレベル。著者は広島出身、文中に広島の歓楽街、流川や薬研堀が出てきます。1990年前後のバブル景気の華やかなりし頃、当時原宿にあった本社に4年間勤務し、未だ稼働中…

坂上弘著「優しい碇泊地」

2022年7月26日(火) 坂上弘(さかがみひろし)は「内向の世代」(1970年前後に登場した若手作家群の呼称。政治的イデオロギーには距離を置き、個人の内面を描く作風を、文芸評論家の小田切秀雄が批判的に命名したもの。他に、古井由吉、黒井千次、小川国夫…

岸本佐知子著「ねにもつタイプ」

2022年7月22日(金) 読まなければ良かったのに日記」をつける羽目になりました。

深沢七郎著「言わなければよかったのに日記」

2022年7月16日(土) 深沢七郎著「言わなければよかったのに日記」読了。 更に、「みちのくの人形たち」や「秘戯」を読み、 更にさらに、ちくま文庫「深沢七郎コレクション・転」に収録されている「流浪の手記」も読みました。 深沢七郎は感性の人、決して文…

新田次郎著「鷲ヶ峰物語」

2022年7月10日(日) 久しぶりに新田次郎の作品を読む。講談社文庫の「鷲ヶ峰物語」、 表題作の他に「谷川岳春色」、「万治の石仏」、「妙法寺記原本の行方」、「大地震の生霊」を含む短編が計5作収録されています。短編のせいかいずれも尻切れとんぼのよう…

村山由佳著「星々の舟」

2022年7月1日(金) 第129回(2003年)直木賞受賞作、村山由佳著「星々の舟」読了。暗いね。 私の実家は代々が大工の棟梁で、作中の水島一家の主、工務店社長の水島重之の頑固で寡黙な職人気質は十分理解できます。私の父親も同じく北支事変(昭和12年~)に…

岸本佐知子著「死ぬまでに行きたい海」

2022年6月26日(日) これもタイトルに惹かれて借りた本です。著者は1960年生まれ、上智大学文学部英文科を卒業し、1981年サントリー入社、宣伝部に6年半勤務し、その後翻訳家として独立。2007年「ねにもつタイプ」で第23回講談社エッセイ賞を受賞して、エッ…

篠田節子著「女たちのジハード」

2022年6月20日(月) 最近は力のある女性作家が多いので、たまにはその作品をと、篠田節子の直木賞(1997年)受賞作品「女たちのジハード」を読みました。 続けて、同じ作者の「恋愛未満」も。 まあ、暇潰しのレベルです。今さら女性心理を研究しても、これ…